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2021.03.21

「兄弟」 なかにし礼 著

久しぶりに何も予定のない一日。

外は雨。

 

今日は終日雨らしい・・・。

 

 

幸い、本郷図書館でリクエストしていた本が手元に入ってきたので雨を眺めながらの読書もよい。

 

リクエストしていたのは なかにし礼さん著「兄弟」。

1998年に出版され直木賞候補にもなった自叙伝的小説。

 

読むのは今回で2度目だ。

 

戦後、特攻隊の生き残りとして帰還した兄とのエピソード。

その後、その兄に 翻弄され  果ては大きな借金を肩代わりすることになった著者。そして、そんなどん底に落ちても兄との縁を断ち切ることができない著者の「苦悩の日々」が描かれた力作だ。

 

描写が素晴らしい。情景が浮かんでくる。ストーリーもリアルで生々しい。

本はダラダラ読むのが私の習慣だったが この作品は一気に読めた。

 

初めて読んだのが確か20年ほど前だったと思う。手にしたきっかけは思い出せない・・・。

 

自分にも兄がいたからであろうか。

 

 

この作品を読み、著者が私と同窓 都立九段高校卒業の大先輩だったと知った。

また代議士秘書をしていた20代の頃、後援会のオジサンたちによくカラオケに連れていかれ、マイクを回されて仕方なく歌ったのが「北酒場」(細川たかし)。この定番がなかなかウケた。

 

作詞は著者だった。

 

 

何かと「ご縁」を感じていたこともあり、昨年暮れに なかにし礼さんご逝去の報に触れ、またこの「兄弟」を読みたくなった・・・というのが今回のいきさつだ。

 

図書館では3か月待ち。私と同じ感慨にひたっている方も多いのだろうか。

 

「この本」を次に待っている人もいるかも知れない。一気に読んで早く図書館へ返却しよう。

 

昭和を代表する偉大な作詞家・小説家 なかにし礼。

作詞として手がけた曲は「石狩挽歌」(北原ミレイ)、「今日でお別れ」(菅原洋一)など4000曲以上にものぼるそうだ。特に自身でも歌った「時には娼婦のように」(黒沢年雄)は当時子供だった私にはとてもショッキングだった。

小説では「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞。

 

まさに記憶に残る「昭和の文化人」のひとりだったと思う。

 

今日はこれを枕(まくら)に「弥根千の図書館環境」についてご紹介しようと思ったが、前置きが長くなりすぎてしまったので、次回に・・・。

 

弥根千は「文豪ゆかりの地」でもあり「本を読む環境」も抜群である。

乞うご期待ということで

悪しからず。ごめんなさい。

 

最後に 大先輩(故)なかにし礼さんのご冥福を 改めて 心からお祈り申し上げたい。

合掌。