弥根千人

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2020.06.30

風の音。

子供の頃から風鈴の音色が好きで、今でも夏が近づくと家の窓先に風鈴をつるす。

私が生まれ育った根津の長屋では風鈴は夏のマストアイテムだった。それぞれの家庭が縁日で買ってきた風鈴を軒先につるし、その音色で涼をとった。長屋の軒先は路地に面しているから風も良く通るので、常に心地よい音が響き渡っていた事を今も記憶している。

あれから40年・・・今私はその長屋から徒歩10分ほどの千駄木に居を構え、同じ文化圏のなかで有り難くも暮らさせてもらっている。場所は変わっても、風鈴は毎年つるすのが習慣だ。

今年は1階には江戸川区にある老舗「篠原風鈴本舗」の江戸風鈴、2階には何年か前に那須に行った時、土産物屋で購入した洋風鈴を飾った。

風鈴を買うときは、やっぱり音色にこだわる。

好きな音色といえば、たとえ強く風が吹いたとしても、それを柔らかく受け止めて優しい音を奏でる・・・そんな感じが好きだ。私にとっての「風の音」はそういった優しい、心和ませる音であってほしいとの願望も含めて・・・(笑)。

 

ところで話は変わるが、コロナ禍にあって、子供たちの夏休みのイベントもことごとく中止の方向性が示されているようだ。
我が弥根千界隈でも、夏にはラジオ体操やどじょうつかみ、盆踊りなど様々なお楽しみを、地域の町会や団体が提供しているが今年はほぼゼロになりそうだ。

 

集まることや、会話すること、一緒に食べる、ということなどを回避するという視点に立つならばこうしたイベントは成立しないし、ましてや非営利やボランティアでの開催は一層難しい。

 

子供たちにとってもこの夏は、いつもと違う意味での「思い出の夏」となりそうだ。

幸い、私の家の前は、子供たちの学校への通学路にもなっているので、もし我が家の風鈴の音色が彼らに届き、少しばかりでも夏の風物を感じとってもらえれば嬉しいと思っている。

私も好きな「風の音」を聞きながら、ただただ収束を願うばかりである・・・。