午前10時、全国コープ住宅フォーラム2004というシンポジウムに参加。 後楽にある住宅金融公庫本店のすまいるホールには100名ほどの関係者が集まりました。
テーマは「コーポラティブ方式による都市居住の再生」
コーポラティブ方式とは、近隣住民や当該地権者などが、 話し合い知恵を出し合って共同住宅を作っていこうとする新しい住宅建築の手法。簡単に言ってしまえば「共同建て替え」のことです。
この方式による住宅を「コープ住宅」と呼び大阪や東京などの大都市を中心に急速に建設戸数が増加しています。
基調講演に立った東京大学都市工学科教授 大方潤一郎氏の話を要約すると・・・・。
「地域住民の期待する「まちのあるべき姿」と都市計画法や建築基準法などの目的に大きな乖離が生じている。
そしてそれに伴いマンション紛争も多発。
特に斜線制限の緩和や容積率緩和などの法改正は地域環境に多大な影響をもたらしている。
地域住民の合意形成により地区計画などを作ること、また自治体においては「まちづくり条例」などの制定により、
その地域にあったまちづくりを推進していくことは急務。
そのような状況においては「コーポラティブ方式」による建て替えは有効な手法。「家を作る」という視点から
「コミュニティを作っていく」という発想に発展していくことにより住民の合意形成を図っていくことが重要。」
などなど・・・。
私もマンション紛争に身をおきながら、そうした様々な矛盾を感じています。
地域の人達がいかに「まちのあるべき姿」を訴えても、そのマンションが法を遵守し設計計画されていれば、
その訴えも結局は虚しく終わってしまう。
また施工主からしてみれば、財産を最大限活用してすこしでも利益を得ようとするのも当然のこと・・・。
このような対立が、コミュニティや街を壊しつつあるのも事実・・・。
国もこうした実情を受け、地区計画などを用いて地方自治体が独自の都市計画決定を下せるようになりましたが、
あくまでも住民合意が前提です。
ツールは整ったものの、どうやって合意形成を図っていくか・・・?
どの自治体も対応に苦慮しているようです。
大方教授による基調講演の後、各地でのコープ住宅についての取り組みが紹介されました。
規模やその土地どちの環境は様々ですが、「こんな家に住みたい。」「自分のまちはこんな街にしたい。」というような、 参加する人達の強い意識が感じられ、「住民合意のまちづくり」の難しさを認識しながらも、そこにかすかな光明を垣間見た気がしています。
午前中で会場を後にして、午後からは「文京区景観審議会」に委員として出席。「景観創造賞」(東洋大学が受賞)などの授賞式ののち、
事務局より景観アドバイザー制度などについての説明と報告がありました。
会議の最後に篠原会長(東京大学土木工学科教授)より「本年中に国において景観法も制定される。当審議会ばかりでなく、 文京区都市計画審議会などにおいても景観法について議論してほしい。」と事務局に要望。
景観については、国立市のマンション紛争裁判の一審判決などで新たな判例も示され、
住民主体のまちづくりに大きな刺激を与えています。
今後景観という概念は、住民合意によるまちづくりを進めていく上で重要なキーワードとなるでしょう。
そしてコーポラティブ・景観・住民合意などなど、今後のまちづくりに関する話題や課題は山積ですが、今年あたりから文京区の 「まちづくり」も大きな転換期を迎えるのでは・・・
性根を据えての取り組みが必要です。