写真は上野恩賜公園のすぐそばに建設された「台東寮」。
ホームレスの人達を対象にした自立支援のための施設です。
東京都と23区の間に平成12年「路上生活者自立支援事業に係る都区協定」が締結。 それに伴いこれらの施設が都内6箇所に建設されました。
「台東寮」は、台東区・文京区・荒川区・北区の4区で共同運営。
定員は104名、建設費は1億3600万円、運営経費は年間約2億円。
また、平成15年度の文京区負担分は約2300万円です。
開設された時から、昨年15年末までの実績は入所者が延べ1290人、退所者が1195人。
そのうち就労し自立した人達が597人(約50%)。
ホームレスの人達がこの施設に入所するまでのルートを辿ってみると以下の通りに・・・。
1.区役所の保護課などに相談・申請。
2.緊急一時保護センター(板橋寮)へ入所。心身の回復と以後の処遇について決定。
3.処遇方針の確定(アセスメント)
①健康回復が難しいケース→医療施設で保護。
②生活保護を受給→民間宿泊所などで生活。
③自立・社会復帰の可能性あり→自立支援センターへ。
これまで文京区の申請から「自立支援センター」への入所者数は、台東寮へ41名、それ以外の自立支援センターには41名の計84名。
こうして、ホームレス対策については都と23区共同で取り組み、一定の成果は挙げてきたものの様々な問題や課題もあると思われます。
これはあくまでも私見ですが・・・。
(問題点)
1.申請に基づくために、強制的に入所対象にすることができない。
反面、申請者が増えれば増えるほど各自治体の負担も重くなる。
という矛盾を抱えている点。
2.センターに入所し、その後一時は社旗復帰し自立はするものの、また
ホームレス生活に戻ってしまうケースが少なくない事。
3.「台東寮」などの施設は迷惑施設との見方が強く、各区が応分に責任を
負うとの観点から、
5年ごとに各区に施設を建設するという取り決めがあり(文京区では、平成21年度に建設予定)、
そのつど新たに施設を廃止したり建設したりという無駄な負担が生じてくるという点。
4.上野恩賜公園や隅田公園などがある台東区やその周辺区の「生活保護費」が増大していること。
などなど。
こうした実情を背景に東京都も「新たな対策」を検討中との事ですが、何だか「焼け石に水」といった感が否めません。
いずれにしても、各自治の負担増は大きな課題だと考えます。
明日に続く・・・。