今回取り上げた特集「ホームレス対策」。
昨日までは、その実情と東京・23区の取り組みについてご報告しました。
最後に各自治体の負担について、知っていただきたいと思います。
自立支援センターの建設や運営など、具体的な対策に要する経費は文京区で年2300万円(平成14年度)、 支援センターを新たに開設する年は別途建設費の負担がかかります。
併せて見過ごすことができないのが、「生活保護費」の増大。
前にもご報告したように、アセスメントで当面自立が困難と判断されたホームレスの人達には、生活保護が適用されます。
近年、こうしたホームレスの生活保護適用が激増。
財政に大きな影響を与えると、頭を悩ます自治体もあります。
写真を見てください、台東区役所内にある保護課の様子です。
毎月、25日になると1ヶ月分の保護費をもらうために、受給者が長蛇の列をなすとの事。
台東区の被保護者数は約6000人、かかる保護費は総額155億円。
平成14年度、新規の被保護者3150人のうち実に70パーセントにあたる2560人が住所不定のホームレス。
生活保護を受給する為には住所の特定が必要。
民間のアパート等は借りるのが困難なため、山谷の簡易宿泊旅館などを生活の拠点にするケースや、
最近ではNPOや株式会社などがこうしたホームレスの人達を受け入れる施設を開設それらが急増しています。(民間宿泊所と呼ばれています。)
台東区ではこうした民間宿泊所は15箇所。このような要因が台東区の保護費を増大させていると言ってよいでしょう。
ちなみに文京区の場合はというと、被保護者数は平成14年度で1171人、保護費総額は32億円。 新規のうちの約40パーセントがホームレスの人達。民間宿泊所はまだありませんが、昨年湯島に建設計画が民間から出されました。 近隣住民の反対と区の要綱改正で結果として建設は中止となりましたが、今後どうなるかは・・・。
台東区ほどではありませんが「対岸の火事」と見過ごせる状況でもありません。
生活保護費の負担割合は国が3/4・そして区が1/4。
どこの区の負担も年々増加しています。
最後に問題点を挙げてみると。
1.自立復帰が大変難しいという、社会情勢の現状をどう捉えるか?
2.国と地方自治体の負担割合をどう考えるか?
3.自治体間のホームレス問題の温度差をどう埋めていくのか?
4.救済のための方策が「生活保護」という制度に頼らざるおえない現状を どのように打破していくか?
来年度から東京都も新たな対策を打ち出すと言っていますが・・・。
この問題については今後、私自身もより一層問題意識を持ち、抜本的な解決策を模索していきたいと思っています。
みなさんのご意見をお待ちしています。